【生物物理学II】
(Molecular BiophysicsⅡ)
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[物理学科
3群 A選択 科目(配当年次:
第3学年 )
] [化学科 3群 B選択 科目(配当年次: 第3学年 ) ] [生物科学科 3群 B選択 科目(配当年次: 第3学年 ) ] |
単 位:2単位 | 単位認定者: 猿渡茂 |
授業期間: 後期 15コマ | 科目分担者: |
授業形態: 講義 週1コマ |
授業の目的 |
生体分子物理学、生体分子構造学を引き継ぐ形で、分子レベルにおける生命現象の担い手である生体高分子の構造と機能がどのような物理法則に基づいているかを理解する。 |
教育内容 |
生命科学における“素粒子”であるタンパク質を主な題材としてその構造及びその基になっている物性を熱力学の観点から考察する。 |
教育方法 |
それぞれの回ごとに、なるべく歴史的経緯を含めて講義する。人物の姿等はAV機器により表示するが、教科書にない図表等はプリントとして配布する。 |
講義内容(シラバス) |
回 | 項 目 | 担当者 | 授業内容 |
1回 |
序論 |
猿渡 |
「生物物理学」という本がないのはどうしてか? |
2回 |
レビンサール・パラドックスとアンフィンゼン・ドグマ |
猿渡 |
タンパク質の立体構造は自発的かつ極めて迅速につくられる。 |
3回 |
タンパク質立体構造の階層性と分類学 |
猿渡 |
アミノ酸残基、1次構造、2次構造、3次構造、4次構造 |
4回 |
立体構造エネルギー |
猿渡 |
高次構造の安定性は分子間力で説明できる。 |
5回 |
タンパク質の動的構造 |
猿渡 |
分子動力学によるタンパク質の物性予測、ヘリックス-コイル転移 |
6回 |
タンパク質立体構造のための分光学(1) |
猿渡 |
円偏光2色性(CD)、旋光分散との関係、2次構造に固有なCD |
7回 |
タンパク質立体構造のための分光学(2) |
猿渡 |
核磁気共鳴(NMR)、化学シフト、スピン-スピン相互作用、核オーバーハウザー効果(NOE) |
8回 |
タンパク質の立体構造決定 |
猿渡 |
2次元NMRは木(水素原子核)から森(タンパク質分子)を見る。 |
9回 |
水の特性と執力学 |
猿渡 |
化学執力学復習、ATP分解の自由エネルギー |
10回 |
タンパク質変性の現象論 |
猿渡 |
タンパク質は温度を下げても変性する。 |
11回 |
タンパク質変性の分子論(1) |
猿渡 |
溶媒接触表面積は立体構造によって変化する。Tanfordモデル |
12回 |
タンパク質変性の分子論(2) |
猿渡 |
水はタンパク質を不安定にする。大井-大畠モデル |
13回 |
タンパク質の安定化戦略 |
猿渡 |
変性剤、安定化剤、移相エネルギー、タンパク質変性の速度論 |
14回 |
生命の生き残り戦略 |
猿渡 |
Darwin系と地球の共進化、分子進化実験、擬種、コドンの起源と熱力学的安定性 |
15回 |
構成的生物学 |
猿渡 |
複製系の普遍的性質、進化揺動応答関係 |
到達目標 |
原子(団)レベルでのタンパク質のイメージを描けるようになること、又その背後にある物理概念を習得すること。 |
評価基準 |
レポート及び期末試験により総合的に判断する。 |
準備学習 (予習・復習) |
物理学科、化学科は必修の講義で熱力学を学んでいるので問題ないが、生物科学科は1年次の選択科目「化学熱力学」を履修していることが望ましい。 |
(書 名) | (著者名) | (出版社名) | (定価) | |
教科書 | 生命と物質―生物物理学入門 オンデマンド版 | 永山 國昭 | 東京大学出版会 | 2,800円+税 |
参考書 | 生命の起源と進化の物理学 | 伏見 譲編 | 共立出版 | 3,800円+税 |
生命科学のための物理化学 第2版 | Peter Atkins, Julio de Paula | 東京化学同人 | 6,300円+税 | |
システムバイオロジー | 浅島他編・金子邦彦著 | 岩波書店 | 3,000円+税 |