【統計化学熱力学】 [物理学科 3群 B選択 科目(配当年次: 第3学年 ) ]
[化学科 3群 A選択 科目(配当年次: 第3学年 ) ]
 
単  位:2単位 単位認定者: 石川春樹
授業期間: 後期  15コマ 科目分担者:
授業形態: 講義  週1コマ
 
教育目標

自然界の多様な物質の性質とその変化を理解する上で,熱力学的な性質は非常に重要である。物質を構成する分子1個1個を記述する量子化学と巨視的な熱力学的性質を結びつけるために,統計熱力学の基礎を理解し,基本原理に基づいた物質の性質(内部エネルギー,熱容量,エンタルピー,エントロピー,平衡定数など)を考察できるようにする。

教育内容

まず簡単な確率や統計から導入し,統計力学の基本概念(エントロピーやボルツマン分布)を教える。次に,分子のエネルギーから得られる分配関数を使って系全体のエネルギーやエントロピーなどいわゆる熱力学関数が表されることを理解させる。さらに,量子化学から得られる分子個々の性質に基づいて化学分野のいろいろな問題,例えば物質の熱的性質や化学平衡を統計力学的に考察させる。

教育方法

板書とプリントが中心であるが,演習やレポートを通して統計化学熱力学を理解させる。

 
講義内容(シラバス)
項  目 担当者 授業内容

1週

統計化学熱力学の導入

石川

統計力学の役割を説明した後,等確率の原理に基づき,実現可能な場合の数から確率を考える。

2週

ボルツマン分布と分子分配関数

石川

統計力学の基本となるボルツマン分布を導き,その性質を理解する。分子分配関数を導入し,その物理的意味を考察する。

3週

並進分配関数および内部エネルギーと分配関数

石川

並進分配関数を導出し,内部エネルギーと分配関数の関係を考察する。

4週

統計力学エントロピー

石川

統計力学に基づいたエントロピーの概念を学ぶ。

5週

カノニカルアンサンブルとカノニカル分配関数

石川

カノニカルアンサンブルの概念を学び,カノニカル分配関数と分子分配関数の関係を考察する。

6週

独立な分子,区別できない分子と並進のエントロピー

石川

独立な粒子の集団,さらに区別できない分子集団におけるカノニカル分配関数を導入し,並進エントロピーの公式を導く。

7週

前半のまとめと復習

石川

前半部分のまとめと復習として,小テストによる確認とその解説を行う。

8週

熱力学関数,分子分配関数(1)

石川

種々の熱力学関数とカノニカル分配関数,分子分配関数の関係を考察する。

9週

分子分配関数(2)回転

石川

理想気体における回転の分配関数を考察する。核スピン重率の考察により対称数の必要性を理解する。

10週

分子分配関数(3)振動,電子

石川

理想気体における振動の分配関数と電子分配関数を評価する。

11週

平均エネルギー,熱容量

石川

統計力学的に系の平均エネルギーと熱容量における並進,振動,回転の寄与を考察する。

12週

残余エントロピー,平衡定数(1)

石川

実測の第三法則エントロピーと統計力学エントロピーとの間の残余エントロピーについて考察する。さらに,化学平衡について統計力学的取り扱いを学ぶ。

13週

平衡定数(2)

石川

いくつかの例により,平衡定数を統計力学的に評価する。

14週

復習

石川

演習を通して講義内容を復習する。

15週

まとめ

石川

全体の確認と復習を行う。

 
到達目標

統計化学熱力学の基礎を理解し,種々の熱力学関数や平衡定数を統計力学的に求めることができる。

評価基準

中間試験(30%)及び期末試験(70%)により総合的に評価する。欠席やレポートの未提出は減点の対象とする。

準備学習
(予習・復習)

1年次の化学熱力学の復習と対数や指数関数の微分の復習をしておくこと。
配布プリントおよび教科書にしたがって予習をしておくこと。
学習内容の理解を深めるために講義ごとにレポート課題を出すので,必ず次週までに解いてくること。

 
  (書  名) (著者名) (出版社名) (定価)
教科書 アトキンス 物理化学 第8版(上,下) Atkins, de Paula著 千原秀昭・中村亘男訳 東京化学同人 上6156円,下6264円
参考書 統計力学入門 化学の視点から 田中 一義 化学同人 3,888円
統計熱力学入門 N.O.Smith 東京化学同人 2,268円