【生物物理学II】
(Biophysics Ⅱ)
 
単  位:2単位 単位認定者: 小寺義男
授業時期: 後期 15コマ 科目分担者: 大石正道
授業形態: 講義 週1コマ
 
授業の目的

プロテオーム(proteome)とは細胞、組織、臓器、体液等に存在するタンパク質の全セットを意味する。1994年にオーストラリアの Marc R. Wilkins が国際会議で使用し、1995年に初めて論文中に現れたタンパク質(protein)とゲノム*(genome)を組み合わせて作られた造語である。細胞、組織、臓器、体液の働きが正常に保たれるためには、その中に存在する数1,000種類のタンパク質それぞれが必要量存在し、正常に機能していることが重要である。このため、全てのタンパク質の存在量や機能や機能的つながりを網羅的に解析するプロテオーム研究によって、外界からの刺激や疾病に伴う変動を分析することにより、生命現象や疾患の理解のために必要不可欠な情報を得ることができる。本講義ではプロテオミクスならびに構造生物学によるタンパク質の機能解析法について理解するとともに、その研究技術、方法を習得し、生命科学の研究に役立てるための知識を養うことを目標とする。

教育内容

ご存知のとおり2002年のノーベル化学賞は質量分析計およびNMRをタンパク質研究ツールに発展させた研究に与えられた。このことは、現在の生命科学研究におけるタンパク質研究の重要性を表している。質量分析計はタンパク質の網羅的な解析(プロテオーム解析)の根幹となる方法である。また、プロテオーム解析の結果を医薬開発、生理機能解明に結びつけるためには、NMRおよびX線結晶解析から得られる立体構造情報は必要不可欠である。本講義では、質量分析計とNMRを用いたタンパク質研究の現状について、実際の研究例をもとに概説する。

教育方法

配布書類を準備してパワーポイントを使って講義をおこないます。

 
講義内容(シラバス)
項  目 担当者 授業内容

1回

ポストゲノム時代の生命科学

大石

ゲノムとプロテオームの基礎知識

2回

疾患プロテオーム解析の概説

大石

二次元電気泳動法と質量分析法による医学研究

3回

二次元電気泳動を基盤にした疾患プロテオーム解析

大石

プロテオミクスによる遺伝病の原因解明,がんの早期診断用マーカー蛋白質の探索

4回

二次元電気泳動を基盤にした疾患プロテオーム解析

大石

プロテオミクスによる糖尿病の発症メカニズム解明

5回

日本と世界のプロテオミクス

大石

日本と世界のプロテオミクス

6回

質量分析計を基盤にしたプロテオーム解析

小寺

質量分析計を基盤にした疾患プロテオーム解析の概要と簡単な研究例

7回

質量分析計によるタンパク質・ペプチドの分析

小寺

様々な質量分析計の原理

8回

質量分析計によるタンパク質・ペプチドの分析

小寺

質量分析計によるタンパク質・ペプチドの分析

9回

質量分析計によるタンパク質・ペプチドの分析

小寺

質量分析計によるタンパク質・ペプチドの同定,データベース検索

10回

質量分析計によるタンパク質・ペプチドの分析

小寺

質量分析計によるタンパク質・ペプチドの比較分析

11回

質量分析計を基盤にしたプロテオーム研究

小寺

質量分析計を基盤にしたプロテオーム研究 その1

12回

質量分析計を基盤にしたプロテオーム研究

小寺

質量分析計を基盤にしたプロテオーム研究 その2

13回

タンパク質の立体構造解析、構造機能相関の研究

小寺

NMRによるタンパク質の立体構造解析1

14回

タンパク質の立体構造解析、構造機能相関の研究

小寺

NMRによるタンパク質の立体構造解析2

15回

タンパク質の立体構造解析、構造機能相関の研究

小寺

構造機能相関解明研究の実際

 
到達目標

プロテオーム解析、構造生物学の実際と現在の生命科学研究における位置づけについて理解する。

評価基準

レポートにより評価する。

準備学習
(予習・復習)

授業の終わりに次回授業の概要を伝えるので、その関連文献を調べておくこと。

 
  (書  名) (著者名) (出版社名) (定価)
教科書 (なし)
参考書 プロテオミクス(ゲノム配列からタンパク質の機能解析へ) S. R. Pennington、M. J. Dunn 監修:磯部 俊明 訳:梶 裕之、宮島 郁子 メディカルサイエンスインターナショナル 4,095円
これならわかるマススペクトロメトリー 志田 保夫、笠間 健嗣、黒野 定、高山 光男、高橋 利枝 東京化学同人 2,625円
タンパク質のNMR構造のデータの解釈と評価 荒田 洋治 共立出版 7,875円