【有機光化学】
(Organic Photochemistry)
 
単  位:2単位 単位認定者: 石田斉
授業時期: 後期 15コマ 科目分担者:
授業形態: 講義 週1コマ
 
授業の目的

光化学は、光と物質が相互作用することにより生じる励起状態の化学を対象としていますが、スマホ画面などに使われる発光材料、光エネルギーを変換する太陽電池など、身の回りで多く利用されています。また、光合成やホタルの発光などのように光が関わる自然現象も研究対象です。この講義では、光化学の基礎や応用例を学習することによって、光化学が専門分野ではない学生諸君が光化学の概要を理解できることを目的としています。最終的には、光化学分野の研究論文を理解できる程度の知識を得ることを目標とします。

教育内容

光とはなにか、分子に光があたると何が起こるかといった光化学の基礎や、実際の光化学研究ではどのような実験を行っているかなどを学習します。さらに、有機光化学、金属錯体の光化学分野における基礎的事柄を学んだ後、発光材料開発、人工光合成研究や光化学を用いた様々な応用例を紹介することによって、光化学が社会においてどのように利用され、今後、利用される可能性があるかについて理解を深めます。

教育方法

毎回の講義は、プリント(配布予定)を中心に行い、その後、その内容について受講者間でディスカッションをしていただきます。わからなかった内容などもその時に出していただき、受講者全員で考えていきます。最終的に、各受講者が光化学関連の最新の論文1報(発表1~2年以内のもの)を読んで、その内容を発表していただきます。論文選定ならびに発表については個別に指導します。

 
講義内容(シラバス)
項  目 担当者 授業内容

1回

イントロダクション

石田

本講義で取り上げる光化学分野の概要について解説します。

2回

光化学の基礎

石田

光とはなにか、光と分子が相互作用することにより生じる電子励起状態など光化学の基礎的項目について解説します。

3回

光励起に関連する諸過程

石田

光励起状態からの様々な物理・化学過程は、ジャブロンスキー図にまとめられます。これらの諸過程について解説し、活性種を評価する発光寿命・量子収率測定、過渡吸収測定など、光化学分野で用いられる実験方法について学びます。

4回

発光

石田

励起状態からの発光現象について、特に有機化合物を例として、蛍光・リン光、エキシマ―発光などについて学び、発光現象を応用した発光性材料、イメージングなど、応用例を理解するための基礎知識を整理します。

5回

発光性金属錯体

石田

金属錯体の光化学について、特に発光性金属錯体を例に取り上げ、その物理化学的基礎と応用例について解説します。

6回

円二色性(CD)スペクトル

石田

円二色性(CD)スペクトルは、有機分子のみならず金属錯体の立体構造解析に用いられています。ここでは、励起子相互作用による構造決定について実例を挙げながら解説します。

7回

光触媒反応

石田

光レドックス触媒反応に代表されるように、近年、光電子移動反応を利用した触媒反応が注目されています。光増感剤として有機分子だけでなく金属錯体を用いた場合などの光触媒反応について、原理を解説するとともに、実際の触媒反応例を紹介します。

8回

光合成と人工光合成

石田

私たちの生活は光合成によって支えられています。光合成では、光はどのように関わっているのか、分子レベルで解説します。また、近年、化石燃料の使用による大気中二酸化炭素濃度増大や、石油などの資源枯渇といったエネルギー問題から、光エネルギーを物質変換に利用する人工光合成が注目を集めており、その研究の最先端について紹介します。

9回

バイオイメージング

石田

細胞内で起こる現象を可視化するために、様々な発光プローブが開発されています。また、ガン細胞を光らせるなど医療にも応用されています。このようなバイオイメージング研究について概観し、その原理と実例を学びます。

10回

光化学分野におけるマテリアル研究

石田

有機エレクトロルミネッセンス(EL)、太陽電池、外壁の汚れを落とす光触媒など、光化学分野の研究成果が実用化されている例はすでにたくさんあります。ここではこれらの技術について紹介し、その開発研究の将来展望について解説します。

11回

論文抄録発表デモンストレーション

石田

受講者が行う論文抄録発表に先立ち、最新の光化学関連論文を例に、抄録発表のデモンストレーションを行います。

12回

抄録発表論文の選択

石田

論文抄録発表のための論文選択を行い、抄録内容について個別に指導します。

13回

光化学関連論文の抄録発表(1)

石田

最新の光化学関連の論文(英文)を読み、内容を発表していただきます。発表は3回に分け、互いの発表を聴き、質疑応答を行うことで、より内容に対する理解を深めます。

14回

光化学関連論文の抄録発表(2)

石田

同上

15回

光化学関連論文の抄録発表(3)

石田

同上

 
到達目標

光化学の様々な研究について学び、どのような計測技術を用いて解析が行われ、分子論的理解がなされているのか学習します。最終的に光化学関連の最新の論文を読むことによって、積極的に光化学分野への理解を深めることを目標とします。

評価基準

論文抄録発表により評価します。ただし、欠席や講義時間内におけるディスカッション参加に消極的な場合は減点されることがあります。

準備学習
(予習・復習)

講義を通して光化学に興味をもっていただきたいので、ディスカッションを通しても理解できなかった箇所や、さらに興味のある分野については、講義時間外に積極的に質問してもらえればと思います。

その他

最後の論文抄録発表については、論文選択もサポートしますし、講義中にデモンストレーションもしますので、早めに準備してください。

 
  (書  名) (著者名) (出版社名) (定価)
教科書 プリント資料を配布
参考書 光化学I (基礎化学コース) 井上晴夫 他 丸善出版 3,200円+税
光化学 基礎から応用まで 長村利彦・川合秀記 講談社 3,200円+税
分子光化学の原理 N. J. Turro他著 井上晴夫・伊藤攻監訳 丸善出版 10,000円+税
金属錯体の光化学 佐々木陽一・石谷 治 編 三共出版 4,000円+税
配位化合物の電子状態と光物理 山内清語・野崎浩一 編著 三共出版 4,700円+税
人工光合成 光エネルギーによる物質変換の化学 石谷 治・野崎浩一・石田 斉 編著 三共出版 4,500円+税